= 偽Arduino業者への公開書簡 = このページには、偽Arduino(Arduino LLCやArduino Srl製ではないが、Arduinoのロゴが付いたArduino互換機)の写真を、販売ページに掲載していた事業者への公開書簡が掲載されていました。[[BR]] Arduino商標の権利者に相談の上、内容証明郵便で警告書を送ったのですが、受取拒否で返送されてきたためです。[[BR]] 同時期に、他のArduino LLCやArduino Srl製ではないが、Arduinoのロゴが付いたArduino互換機の写真を商品ページに掲載している事業者さん達にも同様の警告書を送りました。多くの事業者さんには、「Arduino」の商標権を侵害しているということについて理解いただき、販売を取りやめていただきました。[[BR]] {{{ 警 告 書 貴社が●●●●●●●として販売する商品のArduin o UNO R3 完全互換 MEGA328P ボード+専用 USBコード セットには、Arduinoの登録商標が 表示されていますが、この商品は正規のArduino製 品ではなく、また同商標の使用方法として許可された方法 でもありません。Arduino製品の設計データは第三 者による使用が許されていますが、同商標の表示は許され ていません。貴社の行為は、Arduino製品の製造 元、私たち正規代理店の権利を侵害するだけでなく、商標 法に違反する犯罪行為です。貴社においては、直ちに当該 の商品の販売を停止し、在庫を破棄するとともに、これま でに正規のArduino製品と信じて購入した一般顧客 の損害を回復するよう、強く申し入れます。 平成26年7月30日 東京都新宿区箪笥町35 株式会社スイッチサイエンス 代表取締役 金本茂 }}} その後、公開書簡の宛先となっていた事業者さんからもお返事をいただきました。特定の法人や個人の糾弾が目的ではありませんので、以前のページに含まれていた宛名など、事業者を特定できる情報を削除しました。 多くの誤解があるようですので、「偽Arduino」と「Arduino互換機」の違いや、関連知識を記しておきたいと思います。 * Arduinoは、日本国内においてはArduino SRL社(イタリア)の登録商標です。[[BR]] これについて詳しくは、[http://mag.switch-science.com/2015/04/07/arduino-v-arduino/ Arduinoの内部分裂について]に記してあります。 * Arduinoの設計は公開されていて、誰でも製造販売することが許されています。しかし、それをArduinoと呼ぶ事、あるいはArduinoのロゴを表示する事は許されていません。 * 互換品には、それが本物のArduinoだと誤解されないような名前をつける必要があります(一般論)。さもないと、商標権侵害になります。[[BR]] これらついて詳しくは、[https://www.arduino.cc/en/Trademark/HomePage arduino logo trademark]等を参照してください。 次に、なぜ私たちが、Arduinoに代わり、Arduinoの権利を日本国内で主張しているのかを説明したいと思います。 私たちは、Arduinoや他のオープンソースハードウェアを輸入したり、開発・製造・販売をしている事業者ですが、ユーザーでもあります。もともと、スイッチサイエンスは、社長が自分でArduinoを買うついでに、他の人の分も共同で輸入するところからはじまりました。スイッチサイエンスは、オープンソースでご飯をいただいていますが、オープンソースを愛してもいます。 回路図やソースコードが公開されていると、様々な人がプロジェクトに参加してくれたり、ソースを見つつプロジェクトの成果物を利用してくれます。しかし一方で、ソースの公開は、開発コストをかけずにコピー製品を作るということを容易にしてしまいます。コピー製品のほうが開発コストがかかっていませんので、値段を下げて値段で勝負することが容易です。こうして、コピー製品が売れても開発者の手には報酬が渡りません。ユーザーにとっては安価に同じものを手に入れることができて短期的には幸せなのかもしれませんが、開発者にとって幸せなことでないのは明らかです。コピー商品が出回るということは、結果的にオープンソース界隈の衰退に繋がるのではないでしょうか。 こういった話よりも、偽Arduinoの良くないところはもっと明確です。さきほども記したように、「Arduinoの設計は公開されていて、誰でも製造販売することが許されています。しかし、それをArduinoと呼ぶ事、あるいはArduinoのロゴを表示する事は許されていません。」なぜ権利者の弁護士から上記の警告書が直接送られないのかと言えば、それは権利者にとってお金がかかる面倒なことだからです。