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2017.12.12



Conta規格基板群の設計指針


標準モジュールの設計

Conta規格とは、breakout 基板の外形・コネクタ・信号配列などに一定の規約を設けることで、各基板間の相互接続性を確保するための規格です。
Conta規格における「標準モジュール」とはセンサーICなどが乗る小さな機能基板(いわゆる breakout 基板)を指し、Conta の基準・起点となる基板のことです。
標準モジュールは以下の特徴を持っています。

  • 外形は 2㎝×2㎝の正方形とする。
  • 基板の固定穴は2つ。
  • 電源は3.3Vを基本とし、必要に応じて5.0V を用いる。
  • 利用する信号は、I2Cバス、SPIバス、汎用IOを用いる。
  • コネクタは、I2Cバス、SPIバス、汎用IOを主体とした3個のコネクタで構成される。
  • 3種のコネクタと5.0Vの電源ピンは必要に応じて選択される。

標準モジュール

標準モジュールの基板形状

  • Conta規格ではインチスケール(厳密にはmil)で配置を考えます。
  • EagleのContaライブラリ内に、コネクタ・基板外形・固定穴・シルクなどが一体となったシンボルがあるのでそれを利用すると形状は決定します。
  • もし利用したい組み合わせのシンボルがない場合には、標準モジュール外形の規格を参考にコネクタ・固定穴を配置します。
  • 標準モジュール外形のページでも解説したように、基板の原点は基板外形線から6milずらした位置に設定すると他のパーツの配置が楽になります。


標準モジュールの固定穴

  • 標準モジュールの固定穴は、Conta規格(モジュールの固定穴)に則って2つ配置されます。
  • 固定穴の位置・大きさ等はConta規格により決まっています。
  • 使用するネジはM2ネジです。よって、固定穴はΦ2.2、ネジ避けはΦ4.5になります。
  • EagleのContaライブラリには、シンボル内に2つの固定穴が含まれています。(1つ穴のシンボルは、なるべく使って欲しくないのでありません)
  • 規格では規定しませんが、コネクタで接続される基板間は11mmを想定しています。(一般的なピンヘッダとソケットの組み合わせ)


標準モジュールの電源

  • Conta規格ではモジュールの電源は3.3Vが基本です。
  • ただ、過去との互換性や電力供給に余裕を持たせるため、5V供給ピンを物理的なオプションとして用意してあります。必要に応じて実装してください。
  • 5Vピンの配置方法は、5V化するバスコネクタの1番ピンの横から配置するのを推奨します。(規格上はここまで厳格ではありません)
  • 3.3V、5V以外の電圧が必要な場合は、基板上にレギュレータを実装して供給してください。
  • EagleのContaライブラリには、3.3Vバスと5Vバスが混在するモジュールシンボルはないので、3.3Vシンボルに5Vピンを追加で配置することで対応します。(新たにシンボルを作るのも可)


標準モジュールのコネクタ

  • 標準モジュールのコネクタは、3つのコネクタと2本の拡張ピンで構成されています。
  • これらモジュール側のコネクタはピンヘッダを実装することを想定しています。
  • 各コネクタ・拡張ピンの位置はConta規格により決まっています。
  • 3つのコネクタと2本の拡張ピンは必要に応じて配置します。詳細は規格に則ってください。
  • EagleのContaライブラリには、I2C、SPI、汎用IOのコネクタが搭載されたもの、信号名シルクの有無などのバリエーションが含まれているので、用途に合わせて利用してください。(全ての組み合わせがあるわけではありません)


標準モジュールの信号線

  • Conta規格では一般的な breakout 基板と同様に、なるべくシンプルに信号を引き出します。
  • モジュールからの信号とマイコンボードとのインターフェースは基本的に基板外で実装します。
  • ただしレベルシフタのように基板のIC等と不可分な場合には、基板上に実装することを勧めます。
  • 信号のプルアップ等は規格上では特に規定しません。動作に支障がありそうな場合には適切に追加してください。
    • コネクタ1(I2C)固有の注意点
      I2Cバスにはプルアップが必要ですが、Conta 規格上では特に規定しません。一般的な breakout 基板と同様に処理してください。
      実装例1:モジュール上にチップ抵抗のパターンだけ用意し、未実装状態で商品化する
      実装例2:値の大きな抵抗を実装し、並列接続時の影響を少なくする
    • コネクタ3(汎用)固有の注意点
      コネクタ3は3本とも汎用I/Oですが、IO1がアナログ出力、IO2がシリアル通信の受信入力(RxD)、IO3がシリアル通信の送信出力(TxD)をゆるい推奨としています。
      (ここでの信号の方向はモジュールを視点での記載です)





拡張モジュールの設計

Conta規格における「拡張モジュール」とは、規格に則って大きさを拡大したモジュール基板群を指します。
具体的なイメージは、約2cm四方の標準モジュールをタイル状に敷き詰めて、面積が2倍や4倍(必要ならそれ以上)の大きさにした長方形・正方形の基板となります。

拡張モジュールの基板形状

  • 拡張モジュール設計時にもインチスケール(厳密にはmil)で配置を考えます。
  • 標準モジュールをタイル状に敷き詰める場合には、インチグリッドに各パーツを配置する関係で、0.8インチ(800mil)の間隔で敷き詰める必要があります(理論外形)。基板外形の2㎝では無い点に注意が必要です。
  • 最終的な基板外形線(実外形)は、標準モジュール × n の理論外形から4辺とも6mil内側にずらした位置になります。
    • 例)3x2(6倍)の場合
      論理外形は、「2.4インチ(2400mil) × 1.6インチ(1600mil)」となります。
      実外形は論理外形から12mil(6mil×2)小さくなるので、「2.388インチ(2388mil) × 1.588インチ(1588mil)」となります。
  • EagleのContaライブラリ内には拡張モジュールのシンボルは用意してありません。


拡張モジュールの固定穴

  • 拡張モジュールの固定穴は Conta規格(拡張時の固定穴配置)に則って2つ以上配置されます。
  • 使用するネジはM2ネジです。よって、固定穴はΦ2.2、ネジ避けはΦ4.5になります。
  • 固定穴には力が掛かることが想定されるので、出来るだけ基板の角に穴があるのが望ましいです。
  • 標準モジュールと同じく、コネクタで接続される基板間は11mmを想定しています。(一般的なピンヘッダとソケットの組み合わせ)


拡張モジュールの電源

  • 拡張モジュールにおいても標準モジュールの電源と考え方は同じです。
  • 基板面積が広くはなりますが 5V供給ピンを単独ピンとしては実装出来ません。必ず他のコネクタと一体となるように配置してください。


拡張モジュールのコネクタ

  • 拡張モジュールのコネクタも、3つのコネクタと2本の拡張ピンで構成されています。
  • これらモジュール側のコネクタはピンヘッダを実装することを想定しています。
  • 3つのコネクタと2本の拡張ピンは必要に応じて配置します。詳細は Conta規格(拡張時のコネクタ配置)に則ってください。
  • 各コネクタ・拡張ピンの位置はConta規格により決まっています。配置候補のどこかに設定します。
  • コネクタ・拡張ピンは基板の保持のためにも出来るだけ基板の角にあるのが望ましいです。(規格では下辺に1つ以上配置するとしています)


拡張モジュールの信号線





ベースコネクタの設計

Conta規格の標準モジュールが刺さる受け口を「Contaベースコネクタ(もしくはベースコネクタ)」と呼称します。
ベースコネクタとは、3つのコネクタ+2ピン+2つの固定穴を含んだ1ユニットで、フル実装の標準モジュールの対となる形状のベースコネクタの基本単位でもあります。
ベースコネクタそのものはConta規格で規定はしていませんが、なるべく多くのContaモジュールに対応できる実装が望ましいです。
ベースコネクタ側のコネクタはピンソケットを実装することを想定しています。

標準モジュール用ベースコネクタのコネクタ

  • 標準モジュールは外形・固定穴位置・コネクタ位置が1種類しかないので、すべてのコネクタ・5Vピン・信号を実装するとあらゆる標準モジュールに対応することができます。
  • 5Vピンを含めたすべてのコネクタを実装した場合、ピンソケットをコの字に配置するので、ソケット同士の物理的干渉に注意する必要があります。
  • ホストの都合によりベースコネクタ側の各コネクタの実装が取捨選択できますが、省力する場合はコネクタ単位でしてください。
    • 例1:3.3Vアナログ信号(IO1)を使ったら、汎用IOの5ピンコネクタを実装する。(IO2・IO3を未使用でも5ピンコネクタを使う)
    • 例2:I2Cバスコネクタ内の全信号を実装しないなら、コネクタ1は実装しなくてもよい。


標準モジュール用ベースコネクタの固定穴

  • ベースコネクタ側に配置した取付け穴は、固定方法に合わせて穴径・ネジ避けを設定する必要があります。
  • 取付け穴の位置(中心点)は、標準モジュールの固定穴に合わせます。
  • ネジ避け部分は部品配置・パターン配置は禁止となります。
    • 例1:固定穴にM2ネジを使用する場合 ⇒ 穴径はΦ2.2、ネジ避けはΦ4.5
    • 例2:固定穴にマックエイト社の「TH-1.6のM2シリーズ」を使用する場合 ⇒ 穴径はΦ2.6、固定パッド(兼ネジ避け)はΦ4.8


標準モジュール用ベースコネクタの電源

  • 実装したコネクタの3.3VとGNDには、全ピン電源供給する必要があります。
  • 5Vピンはオプションなので0ピン/1ピン/2ピンでの実装が許可されますが、実装したピンにはすべて5V供給する必要があります。


標準モジュール用ベースコネクタの信号

  • コネクタ1は、2本のI2C信号と1本の汎用デジタルI/Oを実装できます。汎用デジタルI/Oは省略可能ですが、出来るだけセットで実装するのが望ましいです。
  • コネクタ2は、SPIバスのSS・MOSI・MISO・SCKを実装できます。アクセス方向が限定される場合データ線が省略できますが、出来るだけセットで実装するのが望ましいです。
  • コネクタ3は3本とも汎用I/Oですが、IO1がアナログ入力、IO2がシリアル通信の送信(モジュールで受信入力)、IO3がシリアル通信の受信(モジュールから送信出力)をゆるい推奨機能とします。ただし、IO1のアナログ入力は標準機能としてできるだけ実現してください。
  • 各コネクタとも機能限定版として一部の信号を省略できますが、ベースコネクタとしてはできるだけ実装して対応モジュールを多くすることを勧めます。


複数のベースコネクタの実装について

  • 複数の標準モジュールを同時に利用できるように、複数のベースコネクタを実装できます。
  • 並べたベースコネクタとの信号線は、ホストシステムに合わせて独立型やバス型の配線になります。この部分は Conta規格とは独立した事象になります。
  • 複数のベースコネクタを並べる場合、0.8インチ(800mil)の間隔で敷き詰めると拡張モジュールに対応しやすくなります。
  • Contaベースシールドでは 0.8インチの間隔で 2×3 にベースコネクタを敷き詰めたため、多くの標準/拡張モジュールに対応できます。


拡張モジュール用ベースコネクタについて

  • 基本的に、拡張モジュールに対応した専用のベースコネクタというものは存在しません。
  • ベースコネクタを拡張モジュールに対応させるには、特定のモジュールに対応した専用の物を用意する方法と、標準ベースコネクタを敷き詰めて対応する方法に収斂されます。
  • 専用の物を用意する方法は、基板が2枚構成のシステムを設計する事と変わりません。ただし設計順は拡張モジュールが先になると思われます。
  • 標準ベースコネクタを敷き詰める方法は、フルに実装すれば理論上すべてのモジュールに対応できます。ただし、信号線の数や基板面積の都合で敷き詰める数に上限があるので、そこが対応できる基板の上限になります。



Last modified 7 years ago Last modified on Jan 5, 2018 4:29:46 PM

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