Pocket Science Lab ベアボーンボード をWindowsで使う
Pocket Science Lab ベアボーンボード(以下 PSLab)は、電子工作などに使うことができる小型の計測機器です。 オシロスコープ機能の他に、マルチメーターやファンクションジェネレーター、ロジックアナライザ機能などを有します。
スイッチサイエンスでも販売中です。
本ページでは、このPSLabのGUIデスクトップアプリをWindows環境でも使えるようにする手順を解説します。 ただし、Windows Subsystem Linux(WSL)機能を使うため、Windows10 1709以降を対象とします。
要約
WSL上でX Windowの設定を済ませた後にこのリポジトリのセットアップ手順を実行し、WindowsのCOMポート番号を引数にとって$ sudo Experiments -P /dev/ttyS**
を実行する。
参考資料
https://github.com/fossasia/pslab-python
https://github.com/fossasia/pslab-desktop
セットアップ手順
WSLは、Windows上でLinuxのアプリケーションを簡単に実行できる簡易的な仮想環境のようなものです(技術的語弊はここでは触れないこととします)。 PSLabのGUIアプリは現在Linuxを対象に開発されています。Pythonで開発されているためWindowsでの実行も可能と思われますが、現在のところより少ない手順でアプリを起動するにはLinux環境が一番簡単と思われます。 (コード的にはWindowsも対応していそうに見えますが、ネイティブのセットアップ手順については調査中です)
そのため、WindowsのWSL機能を用いてLinuxアプリを起動するという方針を取ります。
- WSLをインストールする
Windowsのストアアプリから「Ubuntu」を検索してインストールし、パスワードなどを設定します。こちらを参照
無事bashが起動したら、インストール済アプリケーションをアップデートしてください。
$ sudo apt update $ sudo apt upgrade
また、python 2.7が導入されていることを確認してください。
$ python -V Python 2.7.12
- XサーバーをWindows側に導入する
Linuxの描画先をWindowsにするために、Windows側にXサーバーをインストールします。Xmingなどが有名です。
Xmingの場合、タスクバーにこのようにアイコンが表示されてればインストール完了です。
- WSLでディスプレイの設定を行う
先程インストールしたWindowsのXサーバーに描画するようにLinuxの設定をします。
$ nano ~/.bashrcとやるとエディタが起動するので、カーソルキーを操作して(あるいは
Alt + /
を押して)最後のほうにDISPLAY=:0.0 export DISPLAY
を加えてください。
Ctrl + o
で上書き保存、Ctrl + x
でエディタを閉じます。
最後にbash上で
$ source ~/.bashrcとやって先程の設定を有効化します。
動作確認では、
$ sudo apt insatll x11-apps $ xeyesなどと実行して、カーソルを追いかけてくる目玉を表示してみるなどの手があります。
- PSLabのアプリをインストールする
リポジトリに記載されている手順をそのまま実行します。
$ wget https://raw.github.com/fossasia/pslab-desktop-apps/development/installer.sh $ sudo chmod +x installer.sh $ sudo ./installer.sh
起動しますか?のようなダイアログが出て、
yes
を選択すると画面が出るはずです。出ればインストール成功です。(この時点ではボードが見つかりませんでしたとなるはずです。)
- ボードに接続する
ボードをWindowsに接続すると、COMポートが現れます。デバイスマネージャーなどから確認しましょう。
このCOMポート番号(画像ではCOM34)の数字を、PSLabの起動時に引数として渡してあげます。この場合では、以下のようになります。
$ sudo Experiments -P /dev/ttyS34COM番号に応じて、末尾の
ttyS**
を変更してください。
ここまで正しくセットアップされていると、ボードと接続された状態でGUIアプリが起動します。
- 試しに信号を出してみる
左の「Controls」タブを開いて、Wave 1のつまみを回してみましょう。
ジャンパワイヤを取り出し、基板下部のAnalogOutputの
SI1
と、基板右端のCH1
を接続します。
左の「Experiments」タブ内の
Oscilloscope
ボタンをクリックして、波形が表示されていれば無事信号出力と測定ができたことになります。
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